安房直子記念〜ライラック通りの会

童話作家 安房直子さんの世界を語り継ぐ

童話作家 安房直子さんの世界は、時代を越えて多くの人の心によりそい続けてくれます。
その豊かさをまだ知らない子供たちや、若者、大人たちに、
安房直子さんの作品が広く読み継がれていってほしいと、私たちは願っています。
そのためのいろいろな活動をみなさんと一緒にやっていきたいと、この会を立ち上げました。


世話人 石川珠美 蓮見けい
スタッフ 永田陽二  イラスト 仁藤眞理子
  事務局 安房直子記念~ライラック通りの会 awanaoko.lilac@gmail.com

10月 ライラック文庫の会 ご報告

2020年10月31日(日)、「10月・ライラック文庫の会」をZOOMにて開催しました。参加者は9名(内スタッフ4名)で、初めてのオンラインでの催しでしたが、安房直子作品の作品論の発表や、単行本未収録作品の朗読を混じえ、和やかな雰囲気で安房直子ワールドの魅力について語り合うことができました。

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目次


安房直子作品論発表

『風のローラースケート』から『冬吉と熊のものがたり』にみる「食べること」と「眠ること」(発表 榊原瑠衣)

安房直子さんの作品には、人間界と自然界の交錯をテーマにした物語が多くあります。仲良く交流するばかりではなく、ときには「谷間の宿」のように、人間が自然界側に取り込まれそうになることも・・・。そんな安房作品には、人間界と自然界が交錯するときのキーワードとして、「食べること」と「眠ること」があるのではないかと考えました。『風のローラースケート』と『冬吉と熊のものがたり』、そして『小夜の物語』を通して、安房作品における自然と人間の交わりの分岐点はどこかを考えました。

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安房直子単行本未収録作品朗読

『霧立峠の千枝』(朗読 石川珠美)

榊原さんの作品論「食べることと眠ること」のモチーフが登場することと、連作集『風のローラースケート』の「あかり屋」と同じ名前の宿屋がでてくることから、今回はこの作品を採りあげました。作品の取り替えっ子~チェンジリングという主題も安房さんの養女体験と重ね合わせて考えると意味深長で、気になる作品であり、参加者の皆さんがどう思うか聞いてみたいと思いました。安房さんお馴染みの青い一面の花畑が出てくるのも面白いです。

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◎参加者の声

榊原さんの発表は作品を読んでなんとなく感じていたことがきれいに整理されていてとても感心しました。イラスト入りのテキストもきれいでおはなしもわかりやすかったです。千枝のおはなしはテキストでも読んでみたいと思いました。みなさんのお話や安房さんに関するエピソードも聞けてよかったです。 みなさんの熱を受けたせいか?あの日はずーっと安房作品のことを考えていました。 

冬吉と熊のきつねの屋台のきつねうどんのことを言い忘れました。きつねがそのままきつねうどんを売っていたw

「金のあぶらげ、金の汁 きつねうどんは、いかがですー」 

日に当たった金色のきつねが目に浮かび思わず食べたい! そんな感じです。

zoomは便利ですがいつかまたみなさんとお会いしてお話できる日がくればいいなとも思いました。安房作品や安房さんについて話したり聞いたりできる機会が定期的にあればいいなと思います。(匿名希望)

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もう何年も、参加出来ず残念に思っていました所、今年10月にズームで皆様とお会いでき、お話うかがえることが出来、また榊原瑠衣さん・石川珠美さんの作品に対する深い優しい思い・誠実な読み込みの深さ等々、大変素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。ありがとうございました。

安房作品は時間をおいて何度も読み返しても、いつも新鮮で感動と自然の大切さと優しい気持ちを貰えます。そして、その時々の自分の在り方を考えさせられます。(匿名希望)

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興味深く拝聴いたしました。よく読書中に根源的で抗いがたい魅力と欲求に突き動かされる狭間で巻き起こる甘美な幻想と、 境界線のあわいでまきおこるめまいのするような出来事にざわめくのですが 発表を伺って、食欲と睡眠に注目するというのに新鮮な驚きを感じました。 そこにある世界のルールを一つくぐると、また新しいギフトをもらえるような気持ちが強くなりました。 

登場人物が、それぞれ素晴らしくて引き込まれました。 皆他人に何を言われても自分の思いを貫くために行動するところが素敵だなと思いました。 ある時はじっと時をまって熟成し、ある時は疾走する。 力強くて勇気をもらうような気がしました。 

懇談の中で出ていた洋食屋さんと喫茶店を探してみたくなりました。 おかげで同じ名前の素敵な洋食屋さんのお惣菜にありつきました 未収録の資料があるという西東京中央図書館にも行くきっかけを頂き、楽しませていただきました。 (やしまかずこ)

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『冬吉と熊のものがたり』について、冬吉が熊と楽しく飲んでいる時に手が熊になってしまっている時に、これは、人間と熊が登場人物になっておりますが、人間界でいったら仲良くする人の影響(良いこともそうではないことも)をうけるという意味を、安房直子先生は訴えたいのではないかなぁと私は思いました。(河内美香)

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  食べることと眠ることの登場するほかの安房作品・・「天の鹿」「三日月村の黒猫」「小鳥とばら」もそうですね。「風のローラースケート」の連作とは、少し傾向は違いますが。

ねむりをがまんすること、というモチーフは、「みどりのスキップ」「長い灰色のスカート」にも出てきます。どちらもキーワードはコーヒー。「ひめねずみとガラスのストーブ」のコーヒー・・・別れの痛みを忘れさせるためのコーヒー・・・と、コーヒーの役割を考えるのも面白いかもしれません。

1992年作の「うさぎの学校」では、安房さんは、うさぎのこどもと主人公を一緒の食卓にはつけません。一緒の食卓につくのを「こわい」と表現し、動物には動物の、人間には人間の食卓がある、と、厳然たる獣と人間の間の一線を意識させられます。

「月夜のテーブルかけ」と「きつねの窓」は同じ構造。印象は正反対だが、どちらも一面の植物の中で動物にもてなされる話。もう二度と出会えない「窓」と、会員カードを発行してくれる「月夜」。「窓」は1972年発表で、「月夜」は1982年、と10年の月日がもたらした作風の変化が面白いと思います。(石川珠美)

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  『風のローラースケート』の中では「花びらづくし」がいちばん好きです。榊原さんの「山の掟を知る者は決して山に泊まることはしない」というのは、なるほど…と思いました。安房作品の根底には、自然界への畏敬の念があると思います。そこで境界線を作ることは、現実の世界でも大切なことです。その上で、対立でもなく同化でもなく「融和」として新しい活力を生む。安房さんは大きな理想の世界を描いていたのですね。「自然との融和」という言葉が好きになりました。

山の主は、自分の娘が縫い物を仕込んでもらった後には、「あかり屋の千枝」を家に帰すつもりだったのではないでしょうか?そのために、千枝にはおいしいお寿司と甘いお酒の作り方を教えたのでしょう。文太がいつか迎えに来ることも計算済みで・・・。村で過ごすうち、文太は「あかり屋の千枝」と結婚するのかもしれません。

霧立峠の自然の美しさが、秋のさわやかな風に乗って描かれていて、私の大好きな蓼科高原の霧ケ峰に行きたくなりました。(仁藤眞理子)

 

◎次回のライラック文庫の会開催のおしらせ

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日程:2021年1月23日(土)午前10時~午後1時    

   ※1週間前の1月16日(土)に、接続テストの会を実施します。

参加費:504円(※84円切手6枚をお送りください)

   ※お申込みいただいた方に参加費送付先をご連絡いたします。

お申し込み先:awanaoko.lilac★gmail.com(★を@にしてお送りください)

定員:15名(先着順)

プログラム:

安房直子作品論
安房作品における『盗る』ことと『約束を破る』こと」(発表 石川珠美)
安房直子単行本未収録作品朗読
「とげ」(朗読  榊原瑠衣)
◎懇談
 

※文庫の会の参加URL及びZoomの操作方法、タイムスケジュールなどの詳細は、お申込みいただきました方に個別にメールでお送りいたします。