<朗読 北風のわすれたハンカチ>
~どなたか音楽を教えて下さい。お礼はたくさんします~
なんと、やさしく、あたたかい声なんでしょう。安房さんの自然の世界がぱーっと開けました。そして、カタカタ、カタカタ、トントントン・・・、思わず、熊と一緒に耳を澄ましてしまいました。初めてのお客に心うきうきして接待している熊の様子が、手に取るように分かり、映像の世界に入ったようです。
北風が持ってきたトランペットの音色は、不思議なほど悲しくさみしい、まるで自分の心のようだ、と思う熊。それでも、音楽にあこがれ、まって、まって・・・
北風のおかみさんのバイオリンのメヌエットは、~ほそい糸がふるえて生まれる、ひとつひとつの音は、銀色のはしごをつくっていくのです。熊は、さびしい心をもったまま、その音楽のはしごを、ずんずんのぼっていけばよいのです。すると、さびしい心は、ふっと軽くなって・・・「音楽を聞いてると、心が月までとどくんだな、きっと。」
バイオリンの音色が、ひとりぼっちの熊のさみしい心を、こんなにも幸せにしてくれる、なんと見事な表現でしょう!
北風のおかみさんも去り、さらにさみしくなった熊の前に現れたのは、青い馬にのった青い少女でした。イメージは、さらに広がります。女の子のもっている青いハンカチでの幸せな時間もつかの間、女の子も去り、泣きたいほどさみしさがました熊。でも女の子がわすれていった<青いハンカチ>で熊の心は一変します。
この思いがけない展開に、熊と同じように私たちも、とっても幸せになれました。
<懇談会>
~心にしみいるような朗読を聞き、しばらくは放心状態に・・・・・・
そして、ひとりひとり、熱い思いが語られました~
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ハンカチは、中国では馴染みがない。祖父との接点で、涙をふくもの、特別なも
のとして使われる。ハンカチで作者が伝えたい事は、さみしさ、一人のさみしさ
ではないか(中国からの留学生)
- 安房さんの作品・・・心に音が残っている。いろいろな音、本物のように聞こえる。
- 安房さん大好き!特に、ハッピーエンドが好き。女の子とホットケーキを食べる場面が好き。いつも明るくめげない熊。女の子との別れ、もっと、もっとさみしい。でも、(女の子のわすれた青いハンカチで)最高の眠りに入れた。幸せな熊の冬ごもり。
あたたかさ、やわらかさにつつまれた。
- 読んでも、聞いても気持ちがいい。こんなに面白い作品はない。
- 自分で読むのと、聞くのと、ぜんぜん世界が違う。
- とてもいい気分になれ、とても良い一日でした。
- 聞く世界は違う。ゆっくりした。青が好き。青の中にも、冷たい青とほっとする青がある。
- 橘さんの朗読は、第一声から広がる。目に見えないもの、自然の偉大さが、現実で体験できる。心の動きが止まってしまった、その~こころ~に必要。
- お芝居を見ているよう。
- 自然の音を感じ取る。いろんな感情を感じ取れる。
- 厳しい現実 <ズドーンと、お礼はもらう>も隠さずに、逃げずに表現。耳の中にハンカチを入れる ⇒ すごいアイディア。ゆっくり読む、素敵な言葉が心の中に入り、良さがよくわかる。
- 熊の声、明るく、かわいい。北風のお父さんのイメージ、そんなにも悪い人ではない。楽器へのせつない願いから➡本当の音楽は、自然の音、それがしみわたる。
- たちばなさんの朗読は、ソフトで音域広い。熊は、安房さん自身。大人なのだが、子どもっぽい、マジシャンでもある。
- 安房さんの作品は、見えないものを見えるように、聞こえないものを聞こえるように表現している。
- 今日のポスターや予告ブログでの、仁藤眞理子さんのさし絵、(安房さんは)気に入ったと思う。何度も読んだが、今日、更に新鮮に感じた。言葉を一つずつ、ていねいに注目して読む。ふと、女の子は、ハンカチを忘れたのではなく、熊のためにおいていったのかな、と思った。
- 亨さん(安房さんのご子息)が、最近、楽器をやってみたいと話されていました。
- 安房直子の作品は、小学三年の時に読んだ。子どもの心が曲がらない。この作品を広めていきたい。
- 西東京市で、~安房直子クラブ~を開催しています(4~5名)。身近なところから広めていきたい。
- すごくいやされた。いやな思い(言葉で傷つけられる)がいやされる。~メヌエット~のところの表現は、イラストのイメージ。心にしみた。
- 読んで感動しました。~泣きたいのをじっと我慢して~別れがわかっていながらラストの、数をかぞえる熊の心。声を心に届けるということが、たちばなさんの朗読でよくわかりました。
- 安房さんの感性の豊かさ。安房作品の中にあるさみしさ、は何だろう?と気になっていた。さみしさ⇒雪、木の葉にも音がある。自然の音に気づかされた。
- 自分の生活と重なって聞けて、よかったな~。自分で読むと、ただの熊になってしまっていた。
- 安房作品は、心はいくつになっても成長するんだな、と気づかされた。子どもは、アニメに偏る。熊の様子や青い色が目に浮かびます。テレビでもこのような作品を取り上げてほしい。
- 登場人物が先生(たちばなさん)にのりうつっている。
- 野菜を育てているが、野菜に声掛けをすると、~おいしいよ~とか返事がかえってきます。自然と一体になれるのです。
<懇談会での たちばなさんのお話しをまとめました>
一音一音大事に読む。言葉には魂がある。安房さんの作品は擬音が多い。雪の音、キキョウの揺れる音=見なくてもわかる。日本人は音に繊細な民族。音と心。音によって心理が変わる。安房さんは、日本語の音の響きの良さがわかっている。だから、音を大事に大事におくりたい。美しい言葉を伝えたい。(イメージをおくる)
- 五感をとぎすますということ=聞こえない音に耳をすます=本当に感じる、本当ににおう。現代人が忘れているこのことを、安房作品は気づかせてくれる。
- 自分の心の中に入っていくキーワード。
:ハンカチ~大事なことに気づかせる一つのきっかけ
:北風の父母~世の中の現実を教えるための存在。時間の大切さ、世の
中の仕組みを学んだ上での心が自立していく物語。
どう感じた?心の持ち方⇒ばらばらだった心がまとまってくる。
- 心が満たされる=どういうことなのか?何に救われるのか?
:自然の中の音を作品を通して感じてもらえる。
- 言葉・声は相手への贈り物。人間関係をきずくのにとても大切。
:声はいろいろに描ける。受け取り方もいろいろ。
:明日への希望にもなれば、人を陥れることにもなる。