1月10日(日)、
ZOOMにて、ライラック文庫の会を開催しました。
参加者は13名(内スタッフ3名)、
常連さんも定着しつつ、新規でのご参加もありで、会の広がりを感じました。
参加者の方のおひとりの、「ひめねずみとガラスのストーブ」のひめねずみのように、今までひっそりひとりで安房直子さんファンをしていたのに、こんなにたくさんのひめねずみがいたなんて、というお言葉が心に残りました。
◎「私の紹介したい安房作品」発表を終えて
やしまかずこ『ハンカチの上の花畑』
童話というジャンルは、幅広い年齢が
触れることができて、深く心に刻まれる
すごいものだと改めて感じました。
時代を背景とする
自然破壊や戦争への警告
宗教
死
食卓と、食される物への畏敬
成長や夢
それが、やさしくてあたたかい眼差しを通して描かれる。
物語に
沢山の祈りが折々
押し花のように
はさまれる妙味を感じました。
それが、それぞれの人の体や言葉を通してまた共有できることの楽しさを
よくよく感じる貴重な機会に感謝します。
松多有子『小さいやさしい右手』
ご紹介したのは「小さいやさしい右手」。
大人になって再読し、話中の娘と魔物の関係で「恨み、復讐するのではなく、赦し、更に相手の為につくすこと」「真理を理解した時に光の存在になる」ところに、聖書の言葉に通じる深いものを感じ、安房さんとキリスト教との関係を知って益々、私にとって特別な話となった。
本会では参加者各々に大切な安房作品があり、其々の読み方、感じ方を皆で共有出来たことが嬉しく、とても楽しかった。
石川珠美『長い灰色のスカート』
この作品のすごい所は、山の精のような長い灰色のスカートの女の造形です。この「女」はいったい何者なのか。それは、山での
神隠し、人さらいといった、得体の知れない現象の象徴であるかのようです。ひだスカートは、母の胎内、命を産み出す子宮のメタファであるようにも感じます。スカートのひだ世界に登場するのは、男性ばかりというのも面白いです。
◎単行本未収録作品朗読
海原由佳『月夜のオルガン』
初めての朗読でとても緊張しましたが、貴重な機会をいただき感謝しています。朗読の練習をする際に、自分で作品を書き起こしてみたのですが、目で読むだけでなく手で書いたり、声に出して朗読したりすることで、五感を使ってより深く作品を味わうことができました。お話の中で兄弟だぬきが心を込めてひいたオルガンのキイが「喜びと感激にみちて」歌ったように、心を込めて朗読することで、安房さんの作品が美しい物語を奏でてくれて心に届くのかもしれません。本当に素敵な体験をありがとうございました。
◎参加者感想
今日はありがとうございました。
振り返ってみると、
安房直子さんから、
色々と数々の宝物を頂いていた事を思いだせて良かったです。
「月夜のオルガン」良かったです。小たぬきの兄弟がかわいくて、
音楽への純粋な思いが伝わって来て、
安房さんは、
本当の音楽の力を感じていらしたのだろうと、嬉しくなりました。
それから、「たんぽぽ色のリボン」と、「白い白いえりまきのはなし」読んだ事が無いので、読もうと思います。楽しみです。(匿名希望)
今日はとても楽しい時間を
ありがとうございました。
仲間に出会えたひめねずみのように
幸せな気持ちになれました。
中古で買おうかと思っていた
貴重な情報もたくさん知れて、
とても嬉しかったです。(匿名希望)
◎次回文庫の会予定
次回文庫の会は、2022年5月~6月の予定です。
現在、
ライラック通りの会では、
安房直子さんの単行本未収録作品の永年保存作業を進めています。
次回文庫の会は、そのご報告をしたいと思います。