1月20日(土)、ZOOMにて、ライラック1月文庫の会を開催しました。
参加者は14名(内スタッフ3名)、北海道、新潟、香川、福岡から、など、広い地域からのご参加、嬉しく思いました。はじめは視聴のみと伺っていたかたも、フリートークにご参加くださるなど、気の置けない寛いだ会となりました。
はじめに、お名前と、「はじめて出会った安房作品のタイトル」を挙げていただき、その後、ふたつのグループに分かれて、安房作品ランキングをめぐってのフリートークにご参加いただきました。
グループ分けは、今回の参加者が投票したランキングの結果に基づいて、分けさせていただきました。
グループ1は、「きつねの窓」「三日月村の黒猫」「海の雪」グループ。
フリートークは、「きつねの窓」のゆびを青く染める描写は、藍染から材をとっているのではないか、また、安房作品には職人がたくさん登場する、というご指摘、
そして、「きつねの窓」しずかに反戦の意味を含めた作品ではないか、というご指摘、
家族を亡くした時に心に寄り添ってくれる作品だったというご感想、自分が実際に母を亡くしたら朗読できない、というお言葉、「薄れてゆく記憶」を扱った物語であるという解釈、
ポーランドご出身の参加者は、「きつねの窓」をご自身でポーランド語に翻訳されているというお話も出ました。
また、今、大学生の参加者は、卒業論文で安房直子さんをとりあげたい、
安房さんの色彩のゆたかさについて、「空色のゆりいす」についてのお話も出ました。
「未収録作品集」についても、「とげ」「ねがい」などが印象深かった、また、エッセイで織物に興味があるというくだりがあり、自分も織物の勉強をしたことがあるので、嬉しくなったというお話、あとがきがまとまっているのがよかったというご感想も。
グループ2は、「鳥」「さんしょっ子」「だれも知らない時間」「ハンカチの上の花畑」「天の鹿」グループ。
安房作品は、日常の隣にぽっかりと異世界が口を開いているという魅力がある、
色彩が心に残るすばらしさ、そして「夢の果て」の幕切れの印象深さ、
「鳥」は、安房作品には珍しいどんでんがえしがあり、印象的であるが、安房さんらしさとは違うのではないかという指摘、
「夏の夢」夢の世界を一緒に旅をしていく、安房作品の良さは、現実世界を生きるためのメッセージが無いところ、純粋に美しい夢の世界をかんじさせるところである、というご指摘、
「さんしょっ子」の切なさ、民話的な雰囲気、お手玉にはあずきが入っている、すりこぎをつかってあんこを作るというような箇所、に、現実を織り交ぜているところも魅力がある、というお話、
異世界がある、その怖さと、別の世界があるということの救いを感じた子供時代、怖さとあこがれがないまぜになった感じ、「ハンカチの上の花畑」「天の鹿」の怖さとわくわくする感じ。
香川県からの参加者は、香川で安房直子さんを読む会をされていて、先日は「ひめねずみとガラスのストーブ」の読み聞かせをされたというお話も。
「未収録作品集」では、「霧立峠の千枝」「鏡の中」「水あかり」がすばらしかった、という話題が出ました。
安房直子さんご本人からサインをいただいた、というご経験のある参加者のお話も、興味深く伺うことができました。
この会はレコーディングしてありますので、会員のかたで、ご希望がありましたら、リンクをお送りできますので、お申し出ください。
今後の課題として、若い世代は、メール使用の会員制というかたちに馴染まないのではないか、例えばGoogleフォームを使ってのアンケートを実施したら、もっとはば広く投票があったのではないか、というご提案をいただきました。
また、今後のテーマとして、
☆安房作品における「市」
☆安房作品における「おいしいもの」
☆指窓で自分が見たいものアンケート
☆好きな安房作品につける「帯」の作成・発表の会(会員の伊藤彩香さんにお送りいただいた卒業論文から)
等があがりました。
今後の会の参考にさせていただけたらと思っております。
◎文庫の会会計報告
◎参加者ご感想
「途中参加ながら、お話に交わらせて頂きありがとうございます。お話の片鱗を伺いながら深い洞察にうなづきながら聞きました! 」Planethand
「視聴参加でしたがとても楽しませていただきました 参加者の皆さまのおすすめの作品を改めて読んでみたくなりました 今後のイベントも楽しみです」 アイダミホコ
「『死』のキーワードは 念頭にありましたが
戦争や忘れてしまうことも これからの安房直子作品を深く理解する
キーワードとして新たな視点をいただきました」 K.A
「皆さんの安房さんに対する愛が伝わってきてとても癒される時間でした。
『鳥』は私は読んだことがなかったので今度ぜひ読んでみたいと思います。」 小枝なみ
「一つの作品について語るだけでも、皆さんそれぞれの感じ方や読み取りをされていて、自分一人で読むだけでは得られない気づきがありました。
同時に、私にとってそうであるように、
皆さんお一人おひとりにとっても、
安房直子作品が大切な思い出や出会いのつまった宝ものであること
に違いはないのだなと感じました。
大好きな
安房直子作品を誰かと語り合うなんて初めての経験で、
嬉しくて胸がいっぱいでした。
皆さんとのお話を通じて、
読んだことのない作品がたくさんあることを実感しましたし、まだ見ぬ
安房直子ワールドがこれからも広がっていくのだと思うと
わくわくします。」 F.I
「素晴らしいミーティングだったと思います。
和やかな雰囲気の中、
安房直子さんの世界についてファンの皆様のご意見を興味深く拝聴できました。皆様のお話を聴くだけで自分の世界も広がった、と感じています。お話になった、私がまだ読んでいない作品はこれからぜひ読みたいと思います。」 井上
バルバラ
「大変楽しい会でした✨
皆さまのお話を聞きながら、まだまだ読んでいない
安房さんの作品が数多くあること、
安房さんの心に触れる出会いがあることを知って、ワクワクしました。
なかなか皆さまには追いつけませんが、これからもお話を読み続け、香川で
安房さんの物語をご紹介する機会を作っていきたいと思います😊」近藤陽子