安房直子記念〜ライラック通りの会

童話作家 安房直子さんの世界を語り継ぐ

安房直子さんの作品世界は、時代を越えて多くの人の心によりそい続けてくれます。
その豊かさをまだ知らない子供たちや、若者、大人たちに、
安房直子さんの作品が広く読み継がれていってほしいと、私たちは願っています。
そのためのいろいろな活動をみなさんと一緒にやっていきたいと、この会を立ち上げました。


世話人 石川珠美 松多有子
スタッフ 永田陽二 野田香苗  イラスト 仁藤眞理子
  事務局 安房直子記念~ライラック通りの会 awanaoko.lilac@gmail.com

7月 ライラック文庫の会ご報告

 

7月11日(日)、ZOOMにて、

ライラック文庫の会を開催いたしました。  

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参加者は9名(内スタッフ2名)、

3時間があっという間の、

気の置けない、なごやかな会となりました。

 

 

 

 〇安房直子作品論「一回性と永遠性~切なさと憧れを描き切る、そのわけを解きほぐす~」(発表 加藤はるこ)

 

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光栄にも発表の機会を与えていただき、拙いながらも推敲を重ねて発表の日を迎えました。
 なかなかログインできず、皆様をお待たせするというご迷惑をおかけしながら、なんとか発表を終えられました。
 今回、わたくしは、安房直子さんの童話の持つ「切なさと憧れ」から「永遠性と一回性」という要素に着目したのですが、そこから参加者の皆さんが様々なご意見をくださり、瞠目させられる喜びを頂きました。
  
 わたくしの作っている安房直子さん作品の分析サイト
https://scrapbox.io/TypeAWANAOKO/でも、新しい視点を取り入れられそうです。
 今後も、安房直子ワールドを更に深掘りしていきたいと思います。
 
 

安房直子単行本未収録作品紹介『水あかり』(朗読 松多有子)

 

 

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前半、不思議な女の子との、あまり起伏のないやりとりの後、後半、不思議な花火の家で起こるスリリングな展開。
気持ちを一気に持っていかれて、まるで自分が花火の家にいるような、不思議な感覚でのめりこんで読んでいました。
夜空に一度切りの大華を咲かせ、散っていく花火。そんな花火になるのも良いかもしれないと一瞬でも思ってしまった主人公「私」に、思わず共感していることに気づき一緒に身震いする自分。
安房作品には、いつも、少し怖くて、切なく、不思議な安房ワールドに連れていかれてしまいます。そんなところが、ずっと安房作品に魅かれ続ける理由でしょうか。
また次の文庫の会で未知の安房作品に出会い、皆さんと語りあえる日を楽しみにしています。
 
 

〇参加者感想

 初めてのzoomでしたので緊張もありましたが、とても楽しい時間を過ごすことができました。
改めて安房直子さんの世界の素晴らしさを感じました。(匿名希望)

 
今回初めて文庫の会に参加させていただきました。
子どもの頃に安房さんのお話に出会って、何度も読み返してきましたが、今まで一度も、他の安房さんファンの方に出会ったことがなかったので、文庫の会でたくさんの方と出会い、大好きな安房さんの作品の世界についてお話できたのはとても幸せでした。初対面でそれもオンラインでしたが、安房さんの作品への大好きな思いは伝わるものだなあと、感動しました。
まだまだ読んだことのない作品がたくさんあるので、これからもっともっと読んでみたいと思います。また次回も楽しみにしています! (匿名希望)
 
初めて出会った女の子が実は、花火だったという発想がとてもおもしろかったです。くつをなくしてしまった女の子に自分の買ったばかりのお気に入りの長ぐつを貸してあげようと思えるとても心優しい女の子だなと思いました。最後に花火の女の子がそのお礼に綺麗に花火にあがってくれたところがとても感動的でした。(河内美香)
 
第一部
発表について 毎回メモを取りながら楽しく聞いております。
時間の枠から離れて、
独立した事象のみに囲まれ過ごす 閉じられた 永遠の世界からの誘いと
一定の時間枠の中で、過酷な別れに、同じではいられない切なさを抱えて成長しながら生きていく主人公の姿
対比と、選択についてのお話は、物語の世界でありながら、
惹かれるものに引き裂かれる想いについてのリアリティを感じ、
物語を読む楽しみが深まりました。
加藤さんの
美しい形容詞の標本のような分類表も話題になり、勉強になりました。
 
単行本未収録作品では
主人公が作家を離れて動き出したような、不思議な楽しさを味わいました。
煮詰められた透明で甘いべっ甲飴の様な印象で、何度も読み返したくなりました。
(やしまかずこ)
 
 

 

 〇次回文庫の会予定

次回文庫の会は、2022年1月の予定です。