安房直子記念〜ライラック通りの会

童話作家 安房直子さんの世界を語り継ぐ

安房直子さんの作品世界は、時代を越えて多くの人の心によりそい続けてくれます。
その豊かさをまだ知らない子供たちや、若者、大人たちに、
安房直子さんの作品が広く読み継がれていってほしいと、私たちは願っています。
そのためのいろいろな活動をみなさんと一緒にやっていきたいと、この会を立ち上げました。


世話人 石川珠美 松多有子
スタッフ 永田陽二 野田香苗  イラスト 仁藤眞理子
  事務局 安房直子記念~ライラック通りの会 awanaoko.lilac@gmail.com

「春の日に安房直子のラブ・ストーリーを聴く会」ご報告

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3月28日の桜の花の満開の日に、オンライン朗読会「春の日に安房直子ラブ・ストーリーを聴く会」を開催いたしました。初めてのZOOM開催ということでしたが、日本全国から65名もの方にお聴きいただくことができました。5人のさまざまな個性の読み手が安房直子ラブ・ストーリーを読む、春の日にふさわしい素敵な時間を皆さまにお届けできて、スタッフ一同とても嬉しく思っております。

 

目次

 

◆出演者の感想

1. さんしょっ子 (朗読 近江竹生)

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この作品を読むと、いつも子供の頃に見た美しい風景が心に蘇ります。例えばそれはてっぺんに花の咲いた茅葺き屋根の家、馬が通る土ぼこりの上がる道…。初めて朗読するこの作品で、生きてることは切ないなぁと改めて感じる今日この頃です。

今回4人の方の朗読を聴かせていただいて、安房さんの作品の懐の深さというものを改めて感じました。50歳の若さで亡くなられたことが、本当に残念に思います。

 

2. ころころだにのちびねずみ (朗読 永田陽二)

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現在は絶版の絵本から、かわいいネズミのカップルのくすぐったくなるようなメルヘンを童心に帰って演らせていただきます。脇役ながら、「歌う百合の花」の存在感が素敵な味付けになっています。

前回は『すずめのおくりもの』のスズメ、その前は『だんまりうさぎ』のウサギをやりましたが、今回はネズミに挑戦しました。安房さんの童話にはいろんなかわいい動物が出てきてとても楽しいなあと思いながらやらせてもらっていますが、今度はどんな動物になろうか?といろいろ考えております。

 

3. 日暮れのひまわり (朗読 秋元紀子)

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愛するものを独占したい、自分のものだけにしたいという少年の気持ちは、それはそのまま、ひまわりにも、そして私たちにも多かれ少なかれあると思います。とても人間くさく、男女の愛がぎゅっと詰まった短編映画のようです。今回はこんな素敵な企画に参加させていただき、ありがとうございます。

私は普段一人語りで公演をやっているので、今回皆さんといろいろ「こうしたらいいね、ああしたらいいね」と知恵を出し合いながらやったのが本当に楽しかったです!また是非みんなと一緒にやれたらいいなと思っています。

 

4. 猫の結婚式 (朗読 原田達也)

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永田さんの「ストーリーテラーズ」に参加したご縁で出演させていただきます。一人で挑む安房作品、いやー、緊張してます。どんなふうにお届けできますやら、楽しんでいただけるよう努めますっ。

今回は会場開催ができず残念でしたが、その分距離の壁を越えてお届けできたということはよかったと思います。いろんな場所でお楽しみいただけたなら何よりです。5つのラブストーリーは、安房直子という作家の幅の広さを感じることもできましたし、待っている間聴いているのも楽しかったです。

 

5. 奥さまの耳飾り (朗読 野田香苗)f:id:lilac-dori:20210404001303j:plain

題名の神秘的な響きに惹かれ、スペクタクルなお話に、私は魅了されました。古代には身分の象徴に使われた耳飾り。奥様には、旦那様からの愛の象徴であったのでは?時を戻せない運命の切なさが胸を打ちます。

今日はラブストーリーというテーマで、いろんなお話を私も聴きながら楽しみましたし、皆さまにお届けできて何より嬉しいことでした。今日は後ろに百合の花を飾りましたが、安房さんの作品にはさまざまな花が出てきます。「奥さまの耳飾り」にはクチナシの花が登場しますが、クチナシの花は、初夏に咲くお花だそうです。これからの季節クチナシの花の香りがしたら、またこのお話を思い浮かべていただけたらと思います。

 

◆視聴者の皆さまからの感想

「ラブストーリーを聞く」とても素敵でした!
安房さんの物語がそれぞれの魅力的な声を通して語られて
その世界にすっぽりとはまり込んでうっとりしてしまいました。
ことに「日暮れのひまわり」「奥様の耳飾り」は
大好きな作品なので格別の響きで最高の贈り物をいただきました。
安房作品が更に波のように広がって生きますように。

(味戸ケイコ様)

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ラブ
と一口に言っても
色々なラブがあるのだなぁと思いました。
叶わないと分かっていても相手を思わずにはいられないような種族を超えた思い。
それらを童話的に表現されていて美しく、愛らしく、微笑ましく感じました。
朗読は自由に想像できるので、異世界の空気に包まれるようで好きです💗
皆様それぞれに個性的で 時に面白く 時に切なく 笑ったり、寝っ転がったり
zoomならではの自由な姿勢で聴かせて頂きました。

(かじりみな子様)

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今日は本当にありがとうございました。
お陰様で久しぶりに安房さんの世界に浸ることが出来ました.
開始前のピアノの音に既にウルウル
皆さまのご苦労のおかげです! 5話の中1話だけが初めてでしたが
しみじみと聴かせて頂きました

(川口岱子様)

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どの作品も、初めて聞く作品でした。そして、ファンタジーでありながら、全く違う展開で、近江さんが仰っていたように、奥が深いなぁと思いました。ホントに、早くに亡くなられたことは、残念なことです。
お話も多様でしたし、語られる皆さんも、個性豊かで楽しませていただきました。
絵も優しくて、ステキ!どの絵も、丁寧に描かれていて、手元に残らないのが、残念です。心癒されました。ありがとうございます。
遠くにいて、交通費もかからず、本代にもならない格安の配信に、感謝、感謝。ありがとうございました。今後も、皆様の活動が、多くの方に喜ばれ、幸せの種をまき続けて行けますように。遠くから、祈っています。

(匿名希望)

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・さんしょっ子

語りで聞くのが初めてで、お歌も素敵でした。
風に乗っていったさんしょっ子、幸せにならないはずはないと思いました。
お手玉、その中の小豆に込められた無償の愛をのこして亡骸でさえも喜びの薫りを残すすりこぎに豊かで素敵な物語だなあとつくづく思いました。

・ころころだにのちびねずみ

出会いのさわやかさが楽しくて、百合の花の歌ががなんとも素敵なスパイスだな~と思いました。無くしたものよりも、欲しかったものよりも、もっともっと素敵なものが手に入る 出会いがそれを作る 楽しかったです。

・日暮れのひまわり

夢のようなひとときに感じました。「胡蝶の見る夢」のようにも思える幻想的な感じでした。少年の恋する魂だけが青く透き通った真実で あとのことは謎がいっぱい
少年は水の下で踊り子さんと再会できたのか 踊り子さんは肉体の制限や重力から解放されて踊るのかなといろいろと思いました。向日葵さんにとって 誰かを思うこころを知ることが、なお明るく花開く力に変わっていけばいいなと思いました。

・猫の結婚式

語りのリズムがすごく楽しくてほんとに沢山の参列者やレインハットがずらりと並んでいるようで。楽しかったです自分も参列者の様な臨場感があって、こんな風にワイワイと皆でお祝いができるといいな~と楽しく聞いていました。リズミカルで、自分で読んでいるときよりもずっと楽しかったです。

・奥さまの首飾り

大雑把な私には「耳飾りというものは、もともと、なくなってもおかしくないもの」ではあるので、奥様のある日常がそれによって変化していくことの儚さと、海を渡ることのロマンスが鮮やかに対比されて写りました。クジラの旦那様がほんとにかっこよく聞こえました。奥様の日常の豊かさは、くじらさんのくれた大いなる安らぎの表れのように思いました。小夜という少女の視線や存在は「真夏の夜の夢」のお小姓さんみたいダナと思いましたとても楽しいお話をありがとうございました。

(やしまかずこ様)

 

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全てのお話を楽しく聴かせていただきました。その中で特に印象に残った2つをとりあげます。
●「奥さまの耳飾り」
まず題名の「耳飾り」、この言葉の響きが良く、それだけで心を掴まれました。イヤリングという言い方をしなかった点に、奥様は旦那様と違って、異国には行ったことが無く一か所にとどまっている、そして、一か所にしかいられない事情があるのでは、想像ですがそんなイメージが浮かんできました。
(もしお話のなかに異国へ行ったことがあるといったくだりがあれば失礼をお許しください。聞き逃していました。)
 
●「日暮れのひまわり」
ひまわり、少年、それぞれの濃い片思いが、日暮れの景色と相まって重苦しく感じ、胸が苦しくなりました。少年がどこかで生きているのか、いないのか、走ってどこかに消えてしまい、わからない、果たしてそんな状態でよかったのか。ひまわりは少年を隠して逃がしてあげたけど、捕まったほうがその後の居場所がわかり、少年の存在を感じることができたのかもしれない、でも思いが通じないならば、どこかへ消えてもらったほうが幸せなのかもしれない、いろいろな想いに駆られました。これが天気良い昼間だったら、爽やかな朝だったらこんな苦しい思いにはならなかったような気がします。日暮れがいけない、日暮れが恋の哀しさを増しているように感じました。

 (匿名希望)

 

 

 

◆今後の催しについて

日程は未定ですが、7月にオンラインでのライラック文庫の会を開催予定です。

テーマは、安房作品における「一回性と永遠性」。

詳しいことが決まりましたらお知らせいたします。

 

◆春の会会計報告

開催が1年延期となったためチラシの印刷が2回必要となり、赤字となりました。赤字金額につきましては、全体会計より補填をいたします。

収入:

参加費(65名×1000円)

65,000

支出:

出演者へのお支払い

18,500

 

演出謝礼

15,000

 

ZOOM使用料(2月・3月/ウェビナー使用料)

15,643

 

チラシ印刷・送料(2020年)

7,144

 

チラシ印刷・送料(2021年)

5,549

 

通信・事務費

4,717

残金:

 

-1,553

 

◆1月文庫の会会計報告

赤字金額につきましては、全体会計より補填をいたします。

収入: 参加費(9名×504円) 4,536
支出: ZOOM使用料(12月・1月) 4,400
  通信・事務費 1,524
残金:   -1,388

 

◆2020年度全体会計

3名の方にご寄付をいただきました。大変ありがとうございました。ご芳名については、郵送版ブログにて記載させていただきます。

 

収入: 前年度繰越 7790
寄付金ほか 41380
支出: 郵送版ブログ 10290
未収録作品保存活動 12136
ZOOM(9月~11月) 6600
通信・事務費 794
1月文庫の会補填 1388
春の会補填 1553
残金: 収入49170-支出32761 16409