安房直子記念〜ライラック通りの会

童話作家 安房直子さんの世界を語り継ぐ

安房直子さんの作品世界は、時代を越えて多くの人の心によりそい続けてくれます。
その豊かさをまだ知らない子供たちや、若者、大人たちに、
安房直子さんの作品が広く読み継がれていってほしいと、私たちは願っています。
そのためのいろいろな活動をみなさんと一緒にやっていきたいと、この会を立ち上げました。


世話人 石川珠美 松多有子
スタッフ 永田陽二 野田香苗  イラスト 仁藤眞理子
  事務局 安房直子記念~ライラック通りの会 awanaoko.lilac@gmail.com

1月 ライラック文庫の会のご報告

1月23日に、「1月ライラック文庫の会」を開催いたしました。

コロナ禍を受けてZOOMによるオンラインの開催でしたが、9名の方にご参加いただき、安房作品について語り合うことができました。作品論の発表、単行本未収録作品の朗読、懇談と盛りだくさんでしたが、3時間があっという間のように感じました。皆さんの安房作品への想いが伝わる心温まる会となりましたこと、スタッフ一同感謝申し上げます。

 

目次

安房直子作品論発表 「盗る」ことと「約束を破る」こと(発表 石川珠美)

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安房さんとキリスト教との出会いは、高校時代にまで遡ります。わたしはキリスト者ではなく無宗教ですが、たまたまこのテーマに出会い、あまりスポットライトをあてられてこなかった安房作品のキリスト教からの影響という観点から読み直してみたいと思い、このテーマにのぞみました。
作品一覧を眺めていて気付いたことは、作品の登場人物がしばしばやむにやまれぬ衝動につき動かされて、ものを「盗る」ということ。そして、「約束を破る」ということ。しかし、そのような行為の報いとして、「罰」を受けることがない、という特徴があることに気づきました。繰り返し登場する「罪をおかしながら赦される主人公」というパターン。
「星のおはじき」「木の葉の魚」「ライラック通りのぼうし屋」「大きな朴の木」「とげ」を通して、安房作品におけるキリスト教からの影響と、安房作品の魅力の源泉を探りました。
ライラック通りのぼうし屋」における「羊」は、信仰を持つ者のメタファであったかもしれません。そしてそこから逃げた「羊」は安房さん自身であったかもしれません。安房さんの紡いだ数々の物語=トルコ帽は、ショーウィンドウに飾られ、読者は皆、「いなくなった羊の国」という、数々の「この世ならぬ異界」へと誘われるのです。

懇談では、光原さんから伺った「木の葉の魚」ラストページに味戸ケイコさんが描いた三匹の魚のエピソード、とても興味深く伺いました。

 

安房直子単行本未収録作品朗読「とげ」(朗読 榊原瑠衣)

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「とげ」は、安房作品には珍しいリアリズムの作品です。同人誌『海賊』4号に掲載されたこの作品は、海辺でひと夏を過ごす6歳の少女ひさえが海で遊ぶうち、友達の少年がおぼれて死んでしまうという悲しいお話です。罪悪感ややましさ、責任転嫁したいという複雑な思いを、ひさえは心に刺さった「とげ」として幼い心に自覚します。

リアリズムの手法で書かれてはいますが、『海賊』の「マスト」(編集後記)に書かれた安房さんの「どんな作品でも『詩』を失う事の無い様にと思っています。」という言葉通り、簡潔ながら美しい文章で、燃え上がるように赤いカンナの花や、夕暮れの浜辺でみつける少年の抜けた歯の描写などのイメージが鮮やかに描き出されています。

人前での朗読は初めての体験でとても緊張しましたが、かつて6歳だった自分と、いま母である自分の想いを込めて、精一杯読みました。

 

〇参加者の感想

初めての参加で、初対面の方ばかりの中で、最初緊張していたのですが、「安房直子さんの作品が好き」という同じ想いを持つ方々と集えると、こんなに居心地良く、また、次々と聴きたいこと、話したいことが溢れ出てくるのかと自分自身にも驚きました。初めて知る事実、初めて聴いたお話「とげ」などなど、情報盛りだくさんで有意義な会でした。
これまで好きだからという理由だけで、何となくしか読んでいなかった自分に気づき、石川さんや皆さんのように何か視点を決めて、安房作品を読んでみたいなとも思いました。本当に勉強になりました。次回も、とっても楽しみです。また、よろしくお願いします。(松多有子)

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 初めてzoomでの文庫の会に出席させていただきました。運営事務局のみなさまの、入念なご準備のほどが伺え、とても素晴らしい会でした。作品論の発表や未収録作品の朗読があったり、それについて皆で話し合ったり。心温まる、素敵な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。(小室朋子)

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zoomに慣れず緊張しましたが、おひとりおひとりのお話しに集中して聞く事ができて、深く楽しく、考えさせられる充実した会だったと思いました。一昨年購入した夢の果てを読み返しました。星のおはじき良いですね。
それからとげの朗読は、主人公の6歳の女の子が、お母さん、お母さんと呼ぶ声が耳に残りました。私の場合は、亡き母の持つ安心感への尊敬と感謝になり良かったです。(匿名希望)

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今回の「とげ」という作品は、今まで読んだ安房直子先生の作品の中で一番胸をうつ作品の為思わずこみあげてくるものがあり、聞いていて沢山泣いてしまいました。私だけ号泣しているのがとても目立ってしまい大変失礼致しました。さっきまで楽しく遊んでいたお友達がいきなり波にのまれて亡くなってしまうというとても涙をそそるお話で、主人公のひさえちゃんは、このできごとを一生忘れられないだろうなと思いました。

このお話は、とても涙をそそる作品ですが、その裏側には、人の命は、いつ終わりを迎えるかわからないからみんな1日1日を大切に感謝をして生きてねと、安房先生は訴えたいのかなと思いました。人の寿命は、生まれた時から決まっているという説もあるので、もしかしたらきょうちゃんは、命の大切さを自分に出会った人達に伝える使命をもって生まれてきたのかもしれないなと思いました。(河内美香)

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文庫の会に初めて参加できました。安房直子さんの作品をより深く知り、考えるきっかけをいただく時間になりますね。集まることが難しい中、オンライン開催してくださったことに感謝いたします。ありがとうございます。
石川さんの作品論に、興味深く聞き入りました。安房さんの童話の世界には、印象的なモチーフが存在し、何かを暗示するようにも感じられます。その中には、キリストの教えから、そのモチーフに繋がっている可能性があることは、新たな見方の一つとなりました。
そして、もう一つ、登場人物が行った「罪」について、罪の意識、罰の意識にまで追い詰めない、掘り下げないことも、安房さんが大切にしてきたかもしれないと、お話をお聴きして、何となくそうかなと思っていたことが、ようやく腑に落ちた感じがありました。同時にそれが実は、人の感情のリアルさをみせられていると、安房さんの作品の魅力であることも実感したのです。
未収録作品の一話「とげ」を榊原さんの朗読で聴かせていただきました。静かに作品の世界に引き込まれていきました。夏の海辺の風景と切ない思いがじーんと伝わってきて、感動しました。
集まれた皆さまと共有し、とてもいい時間をいただき、ありがとうございました。(野田香苗)

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興味深い作品論もありがとうございました。
安房さんの作品へのキリスト教の影響については、これまで意識したことがなかったのですが、指摘されてみれば、なるほど!という気持ちになりました。
今回は野田香苗さんとのご縁がつながったのも、思いがけなく嬉しいことでした。
以前、光原の作品を朗読で取り上げていただいたことがあり、そのときにメールでは
やり取りしていたのですが、面識はなかったので、今回お名前を見て驚き、同名の別人かと思ったらご本人で、本当に嬉しく思いました。(光原百合

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安房さんの作品との最初の出会いは、小学校の図書室で、タイトルやお名前を忘れてしまい、お話だけしか分からなくなっていて、再会したのはずいぶん大人になってからでした。『詩とメルヘン』が大好きでながめていたのは、お小遣いをためてたまに購入できた中学生や、高校生だったと思うのですが、よく考えたらそのころに、安房さんの作品とすれ違った記憶が・・・全くないことに、今気が付きました。(笑) 全く、なんというずぼらか、笑ってしまいます。出会いというのは、ほんのささやかな一瞬の偶然で、その中で安房さんの作品に巡り合えて、とても幸せに思います。

安房作品における「盗る」ことと「約束を破る」ことについて、驚きの連続で、新鮮にうかがっておりました。読む機会のなかったストーリーが沢山でしたし、再読もまた楽しみになりました。「木の葉の魚」のミステリーや、樹木の神秘的な登場を読み解き、刺激的でした。

それにしても、私は、たとえ禁忌といわれるものにふれてでも、極限に純粋な選択の中で、生き延びようとしたり、忘れてしまったりする人間らしい登場人物の振る舞いが
輝きと憧れに満ちていて、大好きなのだな、と思いました。悪いとされることすら、人のせいにしないで、ちゃあんと自分で選んで引き受けて、歩く姿に感動するのです。罪を被りつつ成長する物語の主人公に、あがなわれているのは、読者の自分なのかもしれないです。読後は、遊園地の乗り物が、終点について呆然としている子供のようになります。チケットを握りしめて、また並ぶのです。

「とげ」は朗読をありがとうございます。白いたてがみのシーンが深く印象に残りました。6歳で重たいものを背負ってしまったけど、夢の中の白い歯は、目の前からは確かに消えてしまったけどいつまでも一緒にいてくれる存在として主人公を見守ってくれるよというサインであったらいいなと思いました。(やしまかずこ)

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「盗る」ことと「約束を破る」ことについて、安房さんの作品を「キリスト教からの影響」から読んだことがなかったのですが、なるほど「許すこと」が多く描かれていると気づきました。もしかしたら、それはご自身の中で、どうしても許せない感情が心の底に沈んでいたからではないでしょうか?そんな心を抱えた自分でも神の許しを得たいと渇望していた様に思います。また、「ライラック通りのぼうし屋」で仲間のヒツジを消去しているのは、厳しい信仰の世界から自由なユートピアの世界へ行くには、「ひとりで行くこと」だと感じていたからではないでしょうか?

「とげ」について、日常世界の中で、「私じゃなくて良かった」と思うことは、ほぼ毎日あります。もはや、そんなあたり前のような感情が、どんな罪なことなのかは、なかなか気づかないことです。それを、ひさえの見た夢を通して、幼い子供にもわかりやすく描いたことが、すばらしい作品だと思います。全くみんな死にたえて、だれもいない世界に「生きているのは私だけ」という恐ろしさ・・・人の死を悼むことは、そんな世界にならないでほしいという望みです。(仁藤眞理子)

 

〇次回のライラック文庫の会の予定

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日程は未定ですが、5~6月ごろにライラック文庫の会を鋭意企画中です。詳しいことが決まりましたらお知らせいたします。

1月・ライラック文庫の会開催のお知らせ

f:id:lilac-dori:20201109125038j:plain明けましておめでとうございます。

2020年は、コロナ禍の中でどのように活動していくか模索した年でした。まだまだ大変な時期は続きますが、安房直子作品の素晴らしさをより広めていくために、スタッフ一同がんばってまいります。

2021年は、今月1月23日(土)に「1月・ライラック文庫の会」をオンライン(Zoom)で開催します。作品論発表や、貴重な単行本未収録作品の朗読や懇談を行います。まだお席はございますので、是非ご参加ください。安房作品の色褪せない魅力について語り合いましょう!

3月末には、春の会として、プロ級の方々による朗読会「春の日に安房直子のラブストーリーを聴く会」西東京市内で開催予定です。昨年はコロナで延期になってしまいましたが、会場開催が難しければ、オンライン(ZOOM)開催で安房作品の素敵なラブストーリーを皆さまにお届けできるよう鋭意準備中です。また近くなりましたら、お知らせいたします。

 

目次

◎1月 ライラック文庫の会開催のおしらせ

日程:2021年1月23日(土)午前10時~午後1時    
   ※1週間前の1月16日(土)に、接続テストの会を実施します。
参加費:504円(※84円切手6枚をお送りください)
   ※お申込みいただいた方に参加費送付先をご連絡いたします。
お申し込み先:awanaoko.lilac★gmail.com(★を@にしてお送りください)
定員:15名(先着順)
プログラム:
 ◎安房直子作品論
 「安房作品における『盗る』ことと『約束を破る』こと」(発表 石川珠美)
 ◎安房直子単行本未収録作品朗読
 「とげ」(朗読 榊原瑠衣)
 ◎懇談
※文庫の会の参加URL及びZoomの操作方法、タイムスケジュールなどの詳細は、お申込みいただきました方に個別にメールでお送りいたします。

 

 

10月 ライラック文庫の会 ご報告

2020年10月31日(日)、「10月・ライラック文庫の会」をZOOMにて開催しました。参加者は9名(内スタッフ4名)で、初めてのオンラインでの催しでしたが、安房直子作品の作品論の発表や、単行本未収録作品の朗読を混じえ、和やかな雰囲気で安房直子ワールドの魅力について語り合うことができました。

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目次


安房直子作品論発表

『風のローラースケート』から『冬吉と熊のものがたり』にみる「食べること」と「眠ること」(発表 榊原瑠衣)

安房直子さんの作品には、人間界と自然界の交錯をテーマにした物語が多くあります。仲良く交流するばかりではなく、ときには「谷間の宿」のように、人間が自然界側に取り込まれそうになることも・・・。そんな安房作品には、人間界と自然界が交錯するときのキーワードとして、「食べること」と「眠ること」があるのではないかと考えました。『風のローラースケート』と『冬吉と熊のものがたり』、そして『小夜の物語』を通して、安房作品における自然と人間の交わりの分岐点はどこかを考えました。

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安房直子単行本未収録作品朗読

『霧立峠の千枝』(朗読 石川珠美)

榊原さんの作品論「食べることと眠ること」のモチーフが登場することと、連作集『風のローラースケート』の「あかり屋」と同じ名前の宿屋がでてくることから、今回はこの作品を採りあげました。作品の取り替えっ子~チェンジリングという主題も安房さんの養女体験と重ね合わせて考えると意味深長で、気になる作品であり、参加者の皆さんがどう思うか聞いてみたいと思いました。安房さんお馴染みの青い一面の花畑が出てくるのも面白いです。

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◎参加者の声

榊原さんの発表は作品を読んでなんとなく感じていたことがきれいに整理されていてとても感心しました。イラスト入りのテキストもきれいでおはなしもわかりやすかったです。千枝のおはなしはテキストでも読んでみたいと思いました。みなさんのお話や安房さんに関するエピソードも聞けてよかったです。 みなさんの熱を受けたせいか?あの日はずーっと安房作品のことを考えていました。 

冬吉と熊のきつねの屋台のきつねうどんのことを言い忘れました。きつねがそのままきつねうどんを売っていたw

「金のあぶらげ、金の汁 きつねうどんは、いかがですー」 

日に当たった金色のきつねが目に浮かび思わず食べたい! そんな感じです。

zoomは便利ですがいつかまたみなさんとお会いしてお話できる日がくればいいなとも思いました。安房作品や安房さんについて話したり聞いたりできる機会が定期的にあればいいなと思います。(匿名希望)

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もう何年も、参加出来ず残念に思っていました所、今年10月にズームで皆様とお会いでき、お話うかがえることが出来、また榊原瑠衣さん・石川珠美さんの作品に対する深い優しい思い・誠実な読み込みの深さ等々、大変素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。ありがとうございました。

安房作品は時間をおいて何度も読み返しても、いつも新鮮で感動と自然の大切さと優しい気持ちを貰えます。そして、その時々の自分の在り方を考えさせられます。(匿名希望)

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興味深く拝聴いたしました。よく読書中に根源的で抗いがたい魅力と欲求に突き動かされる狭間で巻き起こる甘美な幻想と、 境界線のあわいでまきおこるめまいのするような出来事にざわめくのですが 発表を伺って、食欲と睡眠に注目するというのに新鮮な驚きを感じました。 そこにある世界のルールを一つくぐると、また新しいギフトをもらえるような気持ちが強くなりました。 

登場人物が、それぞれ素晴らしくて引き込まれました。 皆他人に何を言われても自分の思いを貫くために行動するところが素敵だなと思いました。 ある時はじっと時をまって熟成し、ある時は疾走する。 力強くて勇気をもらうような気がしました。 

懇談の中で出ていた洋食屋さんと喫茶店を探してみたくなりました。 おかげで同じ名前の素敵な洋食屋さんのお惣菜にありつきました 未収録の資料があるという西東京中央図書館にも行くきっかけを頂き、楽しませていただきました。 (やしまかずこ)

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『冬吉と熊のものがたり』について、冬吉が熊と楽しく飲んでいる時に手が熊になってしまっている時に、これは、人間と熊が登場人物になっておりますが、人間界でいったら仲良くする人の影響(良いこともそうではないことも)をうけるという意味を、安房直子先生は訴えたいのではないかなぁと私は思いました。(河内美香)

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  食べることと眠ることの登場するほかの安房作品・・「天の鹿」「三日月村の黒猫」「小鳥とばら」もそうですね。「風のローラースケート」の連作とは、少し傾向は違いますが。

ねむりをがまんすること、というモチーフは、「みどりのスキップ」「長い灰色のスカート」にも出てきます。どちらもキーワードはコーヒー。「ひめねずみとガラスのストーブ」のコーヒー・・・別れの痛みを忘れさせるためのコーヒー・・・と、コーヒーの役割を考えるのも面白いかもしれません。

1992年作の「うさぎの学校」では、安房さんは、うさぎのこどもと主人公を一緒の食卓にはつけません。一緒の食卓につくのを「こわい」と表現し、動物には動物の、人間には人間の食卓がある、と、厳然たる獣と人間の間の一線を意識させられます。

「月夜のテーブルかけ」と「きつねの窓」は同じ構造。印象は正反対だが、どちらも一面の植物の中で動物にもてなされる話。もう二度と出会えない「窓」と、会員カードを発行してくれる「月夜」。「窓」は1972年発表で、「月夜」は1982年、と10年の月日がもたらした作風の変化が面白いと思います。(石川珠美)

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  『風のローラースケート』の中では「花びらづくし」がいちばん好きです。榊原さんの「山の掟を知る者は決して山に泊まることはしない」というのは、なるほど…と思いました。安房作品の根底には、自然界への畏敬の念があると思います。そこで境界線を作ることは、現実の世界でも大切なことです。その上で、対立でもなく同化でもなく「融和」として新しい活力を生む。安房さんは大きな理想の世界を描いていたのですね。「自然との融和」という言葉が好きになりました。

山の主は、自分の娘が縫い物を仕込んでもらった後には、「あかり屋の千枝」を家に帰すつもりだったのではないでしょうか?そのために、千枝にはおいしいお寿司と甘いお酒の作り方を教えたのでしょう。文太がいつか迎えに来ることも計算済みで・・・。村で過ごすうち、文太は「あかり屋の千枝」と結婚するのかもしれません。

霧立峠の自然の美しさが、秋のさわやかな風に乗って描かれていて、私の大好きな蓼科高原の霧ケ峰に行きたくなりました。(仁藤眞理子)

 

◎次回のライラック文庫の会開催のおしらせ

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日程:2021年1月23日(土)午前10時~午後1時    

   ※1週間前の1月16日(土)に、接続テストの会を実施します。

参加費:504円(※84円切手6枚をお送りください)

   ※お申込みいただいた方に参加費送付先をご連絡いたします。

お申し込み先:awanaoko.lilac★gmail.com(★を@にしてお送りください)

定員:15名(先着順)

プログラム:

安房直子作品論
安房作品における『盗る』ことと『約束を破る』こと」(発表 石川珠美)
安房直子単行本未収録作品朗読
「とげ」(朗読  榊原瑠衣)
◎懇談
 

※文庫の会の参加URL及びZoomの操作方法、タイムスケジュールなどの詳細は、お申込みいただきました方に個別にメールでお送りいたします。

日経プラスワンで安房直子さんのことが紹介されました!

2020年10月10日の日経新聞プラスワン「ご当地 食の旅」で、安房直子さんの『花豆が煮えるまで』が紹介されました。ライラック通りの会世話人、蓮見が取材を受けております。

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安房直子記念~ライラック通りの会  お知らせ3つ

★まだまだ暑い毎日、皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
今年度のライラック通りの会「秋の会」は、コロナ禍等の諸事情により、開催を見送ることにいたしました。残念ですが、ご了承ください。

★そこで「10月・ライラック文庫の会」を、Zoomを試験的に使ってオンライン形式で開くこととしました。遠隔地の方も、PCや携帯からご参加いただけます。参加者は先着15名程度、ライラック通りの会会員に限らせていただきます。また、来年1月もライラック文庫の会をZoomで開催予定です。

★来年春には「春の日に安房直子のラブストーリーを聴く会」を開催の予定です。
企画・演出は、永田陽二さん。会場とオンライン(Zoom)の両方でできないか検討中です。みなさまどうぞ、来年の春をお楽しみに!

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★10月・ライラック文庫の会 ~オンライン開催決定!

日程:2020年10月31日(土)午前10時~午後1時
参加費:Zoom試験的運用のため無料
お申し込み先:awanaoko.lilac★gmail.com
(★を@にしてお送りください)
定員:15名(先着順)
※文庫の会の参加URL及びZoomの操作方法、タイムスケジュールなどの詳細は、お申込みいただきました方に個別にメールでお送りいたします。

 

プログラム:

安房直子作品論発表―『風のローラースケート』から『冬吉と熊のものがたり』にみる「食べること」と「眠ること」(発表 榊原瑠衣)
・参加者自己紹介・懇談(作品論・安房直子作品に出てくる美味しいものをめぐって)
安房直子単行本未収録作品『霧立峠の千枝』朗読(朗読 石川珠美)・懇談

※接続テストとして、1週間前の10月24日(土)午前10時より20分ほど、プレ文庫の会を行います。(この日時が難しい方はご相談ください。)

 

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★1月・ライラック文庫の会(予定)

日程:2021年1月末頃
詳細は、「10月・ライラック文庫の会」終了後にお知らせします。
参加費:504円(※84円切手6枚をお送りいただく予定です)

※接続テストとして、1週間前に20分ほど、プレ文庫の会を行います。

 

安房直子さんの作品について語り合える貴重な機会です。ご参加をお待ちしています!

今後の予定について

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コロナ禍で慌ただしい世の中ですが、皆さんお変わりありませんか?

これから2、3年は状況が安定しないかもしれませんが、無理のない範囲で会の開催を致しましょう。
具体的な見通しについてですが、新型コロナの状況が安定/改善した場合、マスク着用、先着15名程度の小規模の会を、今年の秋くらいから持つことができれば、と考えています。


◎「秋の会」(読書会、ビブリオバトルなど)
今回はコロナ禍のためもあり、企画がなかなか進みません。来秋には、いい会ができるようになると思います。


◎「文庫の会」(単行本未収録作品の鑑賞と、作品評論の場)
試験的に Zoom を駆使した会を、ただ今検討中です。うまく行くと良いのですが・・・。


詳しいご案内を、9月初め頃にご連絡いたします。よろしくお願いいたします。

 

◎目次

 
1. スタッフの交代について

スタッフの交代についてお知らせします。
今まで長く会の中心として活躍くださり、ブログやメール対応を担当くださった窪龍子さん、ブログ原稿作成補助、全体会計としてご尽力いただいた佐伯好江さん、会の企画進行、ブログ郵送版送付を担当していただいた安齋明子さんが、スタッフを交代されます。


代わって会の世話人を、石川珠美(総務・メール対応)、榊原瑠衣(ブログ・全体会計)、蓮見けい(記録誌制作)が担当します。

スタッフはこれまで通り、永田陽二(朗読会 企画/演出)、永島志津夫(企画会担当)、イラストもこれまで通り、仁藤眞理子(スタッフ補助も兼務)

以上6名で会を運営していきます。よろしくお願いいたします。


なお、窪さんは来春に予定している春の会にはスタッフとしてご協力くださいます。

また安齋さんは今後も司会としてご活躍いただける予定です。


長い間、会を支えてくださいました皆さま、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

 

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2. 春の会について

「春の日に安房直子のラブストーリーを聴く会」は、延期になりましたが、来年の春に開催の予定です。
企画・演出は、永田陽二さん。どうぞ、来年の春をお楽しみに!

 

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3. 全体会計報告


大変遅くなりましたが、2018年度、2019年度の全体会計の会計報告です。

残金は2020年度全体会計に繰り越しをいたします。

なお、ご寄付をいただきました方々のお名前は、郵送版ブログに書かせていただきますのでご了承ください。

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2018・2019年度全体会計報告

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4. サポーター募集


ライラック通りの会では、会の運営をお手伝いいただける「サポーター」を募集中です。


春の会・・朗読会、講演会
秋の会・・読書会、ビブリオバトル
ライラック文庫の会・・単行本未収録作品の鑑賞、作品評論、記録誌「こみち」作成、などなど・・・


会場設営、会計、スタッフのサポートなど、できる範囲でお手伝いしていただけると助
かります!!


まずは下記までご連絡をください。
安房直子記念ライラック通りの会事務局  awanoko.lilac@gmail.com


では、皆さん、時節柄、お体を大切に。良い毎日をお過ごしくださいね!!

 

秋の会 「“海”が舞台の安房直子作品の読書会」のご報告

 

2019年10月20日(日)午後2時から保谷駅前公民館において、ライラック通りの会・秋の会を開催しました。参加者は18名(内スタッフ5名)、遠方からの方、親子二代でファンという方もいらっしゃいました。半数の方は初参加でファンの広がりを感じました。

会場には安房直子さんの直筆原稿、はがき、作品発表の場となった同人雑誌「海賊」等を展示しました。作品発表当時、昭和40年代の雰囲気を感じることもできました。

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◎目次

 

安房直子作品との出会い・テーマ作品評(スタッフ)

 はじめに読書会のご説明、スタッフ3名から安房作品との出会い、テーマ作品の印象などをお話いたしました。

 

 「火影の夢」 永島志津夫

読書というよりは図鑑を見ていることが好きな小学生だったころ、国語の教科書で「きつねの窓」にひきつけられました。教科書にありながら退屈な作品ではなく、“面白い” そんな印象でした。中学生になってから偶然、角川文庫版の「きつねの窓」を入手し「魔法をかけられた舌」を知りました。地下街そのものが都会的な異空間なのですが、地下街のなかで別の世界とつながっているという舞台設定に特に魅力を感じ、「魔法をかけられた舌」も忘れられない作品となりました。そして大学生になって、ちくま文庫の「銀のくじゃく」で今日ご紹介する「火影の夢」に出会いました。
「火影の夢」という作品、今いるところは夢なのか現実なのか。現実とは夢の延長であるかのような印象を与える作品です。児童文学という枠に収まりきらないように思えます。
偏屈な骨董屋の主人は、火影の中の小さな娘と魚のスープに30年以上前の記憶を呼び覚まされます。サフランの花、大切な銀の飾り物、出て行ってしまった奥さん・・
銘品に囲まれながらも孤独な人生を送ってきた老人は、娘への気持ちに身をゆだね、戻ることの出来ない夢の世界に足を踏み入れていきます。

クライマックスの一節

“するとそのとき、窓からさしこむ月の光が、まるで青い波のようになって、その小さなへやいっぱいに、ひたひたと満ちてきたのです。”ちくま文庫 P157)

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奥さんへの優しさを取り戻した青年は、津波にのまれます。そして消えてしまった、いにしえの港町の住人として永遠の幸せをえます。

骨董屋に残された小さな鉄のストーブに、小さな娘が現れることはもうないのでしょうか?それとも青年と一緒に幸せな姿を現すのでしょうか?これはみなさんへの問いかけにしたいと思います。問いかけをもう一つ。安房直子さんの作品は絵画的であると言われます。読んでいると自然と情景が浮かんできますね。私は日本を代表する、ある文学者を連想します。ノーベル文学賞を受賞された方ですが、みなさんはどのように思われるでしょうか。

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「鳥にさらわれた娘」 石川珠美

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このお話は、昔話によくある異類婚姻譚で、主人公は、シギに変身させられてしまいます。粗筋だけ拾うと、恐ろしい話ですが、この変身が私たち読者に引き起こす感情は、恐怖ではなく、むしろ異界にさそわれる甘美さのほうではないでしょうか?
この作品の中で「海」は、魔力のあるシギの棲家、一種のユートピアです。主人公がシギに変身してしまうのは「罰」ではなく、シギとのロマンスとして、辛い人間界を捨て、シギの住むユートピアへ解放されるという結末になります。
安房さんは多くの異界に誘われるお話を書いています。いずれも自ら進んで囚われ、異界の甘美さに身を浸す作品ばかりです。「海」が舞台の「火影の夢」「海の口笛」も、ともに帰ってこない結末を迎えます。「夢の果て」の少年と少女は紙人形のように海に落ちていきます。「海」は、「人を日常から引き離すもの」「得体のしれない吸引力を持つもの」なのです。

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「夢の果て」 仁藤眞理子

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美しい目をした13才の娘がドリーム化粧品の青いアイシャドウをつけて眠ると、青いアイリスの花畑をどこまでも走って行く夢を見る様になる。青い花の果てに自分の美しい目を見てくれるはずのすてきな人がいる様な気がして、誰かに出会う為に、毎晩アイシャドウをつけて眠る様になる。この部分が私はとても好きで、そんな娘時代の気持ちに懐かしさを感じる。物語はついに夢の中の背が高い若者に出会えるが、その後に起こることは、恐ろしい予知夢の様にも読める。が私は安房メルへンを現実の世界に置き換えてしまいがちで、娘が走り続けた青い花畑は子供時代の青い日々であり、若者の吹くトランペットは二人の出会いの祝祭の音色の様に聞こえる。そして手をとり合って人生の大海原に二人で飛び込んで行く若者達の将来を暗示している様。美しい瞳でにっこり笑っているだけで幸福が手に入ると思っていた高慢な娘の夢の様な時間は、もうすぐ果ててしまうことを、アイシャドウをつけて背のびしたことで、ひと足先に知ってしまったのではないでしょうか。

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安房直子作品との出会い(参加者)

この後、参加者の皆さまとスタッフが一緒になり、安房作品との出会いや、印象などをお話頂きました。その中から一部をご紹介します。

 

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出会いは小学生の時です。母のものだった『南の島の魔法の話』(講談社文庫)を読んで、一度で虜になりました。図書館で手にとれる物は全て読みました。それ以来、ずっと好きです。周りに安房さん好きはいませんでしたので、誰にもわかってもらえませんでした。キンモクセイの時期には「花のにおう町」、桜の散る頃には「緑のスキップ」の話をしてみたい。そう思っていました。この会に来られて、夢のようです。
安房さんの描く「海」は、憧れでもあり、恐怖の対象でもあります。「夢の果て」の少年少女は海に吸い込まれるように落ちていきますし、「さんしょっ子」は風にのって海へ向かいます。「海」は、得体の知れない生き物が住んでいる、底知れない場所です。「鳥」の魔女は、海のほとりに住んでおり、海の魔的な力を借りている怖い不気味な存在です。「鳥」の冒頭で、「どこから来たんだい?」と聞かれた少女は「海から。」とだけ答えます。それだけで潮風を感じさせ、少女がこちら側の者ではないことを予感させる、すばらしい導入部です。
大学時代の卒論は、安房直子論でした。「食べること」と「眠ること」をキーワードに書きました。異世界と交流することが多い安房作品、動物と人間が会食する物語がたくさんあります。ものを食べる事により、異世界に行ってしまう。「花びらづくし」等は眠りを我慢して我慢して、「こちら側」に戻ってきます。この二つのアクションが、重要なキーワードではないか?と考えたのです。(るいさん)

 

絵本の「雪窓」が安房作品との出会いです。子供に読み聞かせていたのですが、安房さんは心のきれいな人だと思いました。英訳された "The Fox's Window and Other Stories"を読み、寂しさとか喪失感の描き方が魅力的だと思いました(バラさん)

 

小学生の頃に、「きつねの窓」と、出会いました。その後、大学生の兄が、『南の島の魔法の話』(講談社文庫)を貸してくれたのを読み、一気に引き込まれて、それ以来、ずっと好きでいます。このような、安房作品の話をできるのが、嬉しいです。私は、外国語を勉強しています。フランス語です。いつか、安房さんの作品を、フランス語に翻訳する事が夢です。(朋子さん)


小学校3年生の頃、『天の鹿』が最初の安房作品です。安房さんの文章はアニメなどよりも絵画的で、情景描写が強く印象に残りますね、食べ物とか着物の柄とか。大人になってからも、ふと思い出します(めぐみさん)


安房さんとの出会いは最近で、四、五年前の事です。もともと絵本が好きで、図書館で「あ行」から探している中で、安房直子さんと出会ったのです。『きつねの窓 』 を手に取りました。それから「安房直子さん」をネットで検索し、安房さんの女学生の頃の写真を拝見し、この人には会った事がある、という思いを強くしました。昔、同僚だった人ではないか?と思えたのです。不思議なご縁を感じました。(まゆみさん)


「きつねの窓」が好きです。大人になってから、本屋で出会い、懐かしく思って手に取りました。教科書にしては「入り込める」お話であると、小学生の時に思ったのです。
安房さんの作品には、私達への「忠告」が書かれている事があります。良くない感情を持つと、「罰」があたる。読みながら、自分自身も考えさせられるのが、安房さんの魅力です。(みかさん)


今回の読書会の中では、「火影の夢」が好きです。海の近くに住んでいるので、とても惹かれるものを感じます。(まゆこさん)

 

「夢の果て」のドリーム化粧品を買いたいです。安房作品は大好きなので、人には教えたくないと思ってしまいます。(かおりさん)

 

「日暮れの海の物語」で安房直子さんを知りました。安房さんの作品、海とか空とか、青色が印象的ですね。(かずえさん)

 

生前、安房さんは絵のような文章を書きたいと仰っていました、安房さん自身が青色が好きでシャガールの絵が持つ語りを目指していると。(マグノリアさん)


出会いは、半世紀近く前、八歳の頃だと思います。母は読書家で、毎日のように本を買ってくれたのですが、その中で出会ったのが、『北風のわすれたハンカチ』でした。読んだ途端、八歳の子供の頭の中が、「物語」でいっぱいになりました。何度も何度も読み返し、まるで水が溢れるように「物語」が溢れてくるように感じ、いったいどうしたらいいのか。こんな素敵なおはなしがあるのだと。どうしたらよいのかわからないまま、鉛筆を持ち出して、感想文を書きました。それを夏休み明けに学校で提出しました。『北風のわすれたハンカチ』は、牧村慶子さんの挿絵で、本当に可愛らしく、食べ物は美味しそうで、母に、ここに出てくるホットケーキを焼いてくれ、と、頼み込みました。パンをこねている場面や、カップケーキを差し出す場面など、とにかく、「食べたい!」と。どんなに食べたいと思ったことか、半世紀近く経った今でも忘れません。
自分が八歳の時に出会っているので、子供たちにも読ませたいと思いました。どのような環境なら安房作品を子供達は読んでくれるのか。環境を整え、伝えていくのが、私たち周りの大人の使命であると思うのです。(安齋)

 

安房作品との出会いは、小学校低学年の時、『銀のくじゃく』です。『銀のくじゃく』と『白いおうむの森』の両方を読んで、このような幻想的な物語に出会ったのは初めてのことで、とにかく惹きつけられ、夢中になりました。『銀のくじゃく』と『白いおうむの森』の挿絵は、赤星亮衛さんです。赤星さんの挿絵は、子供じみていない、実に魔術的で不思議な魅力のある挿絵で、この挿絵にも強く惹かれました。お手元の『安房直子のお料理レシピ~秋冬』は、私が書きました。手にとっていただけて嬉しく思います。(石川)


生前、安房直子さんはダイニングキッチンのテーブルで原稿を書くことが多かったそうです。作品にお料理が登場するのもそのためかもしれませんね。

 

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◎秋の会 参加者アンケートまとめ

本日の催しについて

・満足度について
 とても有意義だった。知人にも紹介したい・・・7人
 有意義だった。また参加したい・・・6人
 期待していたものとは違っていた・・0人
 不満が残る・・・・・・・・・・・・0人

(コメント)
*これまで安房さんについて語りあえる場がなく、今日初めて皆さんの話を聞けて本当に嬉しく思いました。自分以外の人の口から「火影の夢」「さんしょっ子」という言葉が聞けるとは・・・! 料理本は、ずっとあればいいのにと思っていたものです。ぜひ春夏版も重版いただきたいです。また、海賊も,お手紙や直筆原稿も拝見できて感動しました。亡くなってこんなにたっているのに、まだ読んでいない作品があることが嬉しいです。
安房さんと親しかった方もいらっしゃって、おもいがけないお話しもお聞きできました。皆さんから作品の紹介をいただき、時間を作ってまた読みたいなと思えました。すばらしい会をありがとうございました。
*色々なもの(本)、お話しが聞けて面白かったです。スタッフさんのサポートがありがたかったです。レシピ本は夢のような企画でとてもうれしいです! 海がテーマだからか、スタッフさんの青っぽいお洋服ステキでした。
安房直子さんの作品についてこんなにお話しした事ははじめてでした。とてもしあわせな時間でした。
*読書会には初めて参加しました。安房作品がお好きな方が沢山いる空間、とても楽しかったです。
安房さんゆかりの場所でできるのはいいですね。
*今日参加できて本当に良かったです。安房さんゆかりの土地での読書会、楽しみにしていました。貴重な書物を手にとって見ることができて感激です。これからの活動(朗読)に生かしていきたいです。
*とても楽しい会でした♪ もっと長くてもいいかな、なんて思ってしまいました(笑)
*私の大好きな作品を読んでいた方がいて、そのお話ができて、とても楽しかったです。ぜひまたうかがわせて頂きたいです。

今後の催しについて

・期待すること
 安房直子さんについて知る機会が欲しい・・・・・・・・・8人
 朗読会など安房さん作品を鑑賞する機会が欲しい・・・・・7人
 安房さん作品についてお互い話ができる機会が欲しい・・10人
 日頃からSNSを通じて安房さんファンと交流したい・・・3人


(コメント)
*皆さんの好きな作品を聞けるだけでも幸せです。安房直子さんの文章の素晴らしさを世の中の方にもっと知っていただきたいと思います。皆さんの好きなフレーズなど話しあってみたいです。
*お料理会などもやっていただきたいです。
*今回も幸せな良いひとときを有難うございました。
*あまり大げさにせず半年に一度くらい参加したいなあと思います。安房さんのお人柄を私も大切にしたいと思います。
*若い方が増えて嬉しいです! これからも開拓を・・・。ツイッターの効果抜群ですね。よろしくお願いします。
*遠方のため、日曜日の開催でしたら参加できると思います。
*ここでの出会いを楽しみにしています。
安房直子さんの世界について生前のご本人のお話を伺ったり、解釈をしていただいたり、なかなかない機会を与えていただきありがとうございました。外国の方に安房文学が読まれていることにも大変嬉しい思いがいたしました。伝わるものなのですね。
*SNSの活用、とてもよいと思います!
*とりあえず田無の図書館へ行こうと思いました。
*子供にも安房さんの作品を知ってもらいたいですから、できれば絵本の朗読会をしてほしいです。

会計報告

多額のカンパを頂きました!参加者のみなさま、ありがとうございました。有効に役立たせていただきます。

収入
  参加費(13名×500円)     6,500円
  寄付(レシピ本著者石川さん) 5,000円
  カンパ(参加者の皆さん)   7,220円
  合計             18,720円

支出
  飲み物            1,687円
  クッキー           3,800円
  合計             5,487円

残金               13,233円

 *残金13,233円は、全体会計に繰り入れます。カンパのご協力をありがとうございました。

 *全体会計は、年度末(3月末〆)にご報告いたします。

 

次回、春の会は3月を予定しています。追ってお知らせします。