2018年4月21日(土)14時~16時半、保谷駅前公民館において、ライラック通り春の会「直子の窓・朗読会」が開催されました。
出席者は15名。
目次
1. 作品の紹介と読み手から一言
~ てまり 朗読 川島 昭恵 ~
髪は、ふっさりとして、ほほは、うすもも色。まるで人形のようなお姫さまがいました。お姫さまは、二人の友だちと、毎日、ままごとや人形ごっこをしました。けれど、遊び相手がはしかになり、かんしゃくを起こして、泣きじゃくってばかり。すると、ねこやなぎのかげから大きなてまりをころがしながら女の子が出てきました。そのてまりは、色とりどり。ころがすたびに、りんりんといい音がします。
てまりを通して二人の交流が始まります。たもとにてまりが入ると、お姫様は見たこともない、色とりどりの綾織りのはたおりを、女の子はいちめん黄色い花々が咲きこぼれた菜の花畑を、見ることができるのです。
二人のそれぞれ見た夢は、お姫様のぽっくりのすずで現実とつながります。
秘密の遊びはしばらく続きましたが、女の子もはしかになり、ぱったり来なくなり、お姫様は悲しく寂しい思いでいました。
すると、しゃんしゃんという鈴の音がし、植え込みのむこうから虹のように美しい弧をえがいて女の子のてまりがとんできました。でも、女の子は現れませんでした。
このてまりは、お姫様のものになりました。てまりをたもとに入れてのぞいてみると、小さな弟をおぶってはたを織っている女の子が見えました。
お姫様は、女の子とまりをついたり、菜の花畑をころげまわることはもうできない、と知ったのです。お姫様は、てまりをさわりながら、夢の中でもう一度、女の子に会いたいと思いました。
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* 読み手から一言・・・・・・キーワードは、~春の窓~。
窓から誰かがのぞいている。 現実 ⇔ 幻想の世界
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~ 熊の火 朗読 秋元 紀子 ~
山の中で、仲間から置いてきぼりにされた小森さんは、タバコに火をつけていました。すると、たったった、と力強く近づいてくる音にはっとします。それは熊の大きな影でした。小森さんは死んだふりをします。熊は、麦わら帽子をかぶり、タバコをくわえ、「こんばんは」と笑いながら、となりにすわりました。干し草のにおいがしました。星をながめて鼻うたを歌っています。小森さんは、話しかけてみました。父親のように、話を聞いてもらいたいと思ったのです。でも、弱肉強食の熊の世界と、自分を置いてきぼりにした人間社会とは共通点があると分かりました。
火口の煙の中の、春の野山の景色。火の中に楽園がある!熊はそこで、年頃になった娘とずっと暮らしているのでした。小森さんは、火口の煙の中に入った熊の後から、自分も入ってしまいました。そこは、森のある素晴らしい楽園でした。タバコの煙に包まれていれば、自由に往来できるというタバコの火を分けてもらい、小森さんは熊になりました。そして人間社会と決別して熊の世界に入り、熊の娘をおよめさんにもらって、やがて子どもも3匹、生まれました。
熊となって煙の中に住む小森さんですが、しだいに、哀しみを感じるようになりました。心の弱気にすきま風が入るようになり、<外へ出て何かしよう、自分の力で何かしてみたい!>という人間の気持ちがわいてきました。
小森さんは、熊のタバコを再び吸い、煙の外へ出ました。外は秋。小森さんは、人間に戻りました。そして、仲間に助けられ、元の小森さんに戻りました。でも、気力がなく、人間に戻ったことを後悔しました。
一年が過ぎたある日、窓をたたく音がして、「戻ってきて!」という声がしました。月あかりの中におよめさんの熊がいました。会いたくて、山を焼きながらやってきたのです。熊のおよめさんは、畑の作物をかごにどっさり詰めてもらって、また、火の道を帰って行きました。
熊が山を焼きながらやってきたという道すじに、まんじゅしゃげの赤い花の列が、まるで鎖のように、うねうねと続いていました。
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*読み手から一言・・・・・夫婦の話、おとなの世界を、こどもはどうとらえるのか?
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2. 懇談会
てまりについて
*てまり、素敵な世界。聞きほれる。
*菜の花の世界に入っていく楽しさ。
*てまりは生き生きしていた。話がグレードアップされた。
熊の火について
*炎をバックにして、壮絶な世界。男性からみると、ぞくっとする。タバコ
を残して去っていく、情念の世界。男だったら一旗あげたい。
*タバコをすった人しか判らない世界を見事に表現している。
*悲しい話だが、子どもも読める。
*熊の作品、深い。生と死を感じる。児童文学とは思えない。
*独特の世界。寂しいが通じるものを感じる。
*熊の火=これこそ安房作品の傑作の1つだと思う!曼珠沙華は、想像をかきたてら れる不思議な花。毒がある。あぜ道に増える、恐ろしさも感じる。
*秋元さんの高い声はきれい。熊を違った意味で裏切ってくれた。
両作品について
*小学館で作品を掲載したことがあるが、2作品とも素晴らしい。てまりは涙がでた。
*2015年、春の会から参加。安房作品は、きつねの窓からはいった。安房作品を読んでいると、脳が元気になれる。満たされる。
3. ライラック通りの会・秋の会「安房作品によるビブリオバトル」予告!!
秋の会は、昨年好評だった「ビブリオバトル」を実施いたします。
今年の日程は9月末、会場は保谷駅前公民館の予定です。
現在、出演者(バトラー)募集中です。
興味のある方は、昨年11月にアップした、当ブログをご覧のうえ、メールでお問い合わせください。
※ビブリオバトルとは・・・
①発表参加者が面白いと思った本をもって集まる。
②順番に一人5分で本を紹介する。
③それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションをする。
④最後に「どの本が一番読みたいか?」を基準とする投票を参加者全員で行い、最多票を集めたものを「チャンプ本」とする。
今回、テーマは特にありませんが、作品はもちろん、安房直子作品に限ります。
発表者(バトラー)は作品タイトルの事前申請をお願いいたします。
発表者(バトラー)は多くとも8名程度までといたしますので、我こそは!と思われる方はお早目にお申し込みください。
観戦のみご希望の方も大歓迎です
4. 会計報告
◆「直子の窓・朗読会」 会計報告
収入項目
参加費 ( 1,500円×9名 ) 13,500円
寄付 ( 会員から ) 10,000円
( 会員から ) 115円
合計 23,615円
支出項目 金額(円)
謝礼(5,000円×2名) 10,000円
参加者用のお茶 10本 615円
合計 10,615円
残金: 23,615-10,615=13,000円 全体会計へ繰入
◆2017年度 会計報告
収入項目
前年度残高 29,853円
寄付(3名)* 50,000円
5月27日全体会 残金 7,987円
7月23日ストーリテラーズ残金 743円
10月15日ビブリオバトル残金 4,099円
送料負担(切手)) 492円
合計 93,174円
*寄付をいただいた方のお名前と金額は、ブログ郵送版のみに掲載
させていただき、ネット上では割愛いたしますので、ご了承ください。
支出項目
通信費 13,070円
交通費(スタッフ6名、含打合せ会) 29,609円
会合費補助(7回分、含打合せ会) 26,963円
7月23日の会補助 10,000円
事務費 10,000円
合計89,642円
残金: 93,174-89,642=3,532円 全体会計へ繰入
2017年度残金3,532円と、今回春の会・朗読会の残金 13,000円を
合計した金額、16,532円は、ライラック通りの会の会計に繰り入れます。
以上